日々ゆる考

書きたいことを書きたいときに書く雑記帳。

我が家には鳥がいる。

私の家は鳥を何十羽も飼っている。

 

オウムとかインコとか

鳥のことは全然分からないが、人間がしゃべる言葉を真似する鳥とかその他色々だ。

 

この鳥、一番最初に我が家に来たのはもう10年以上前になる。

小学生の時に、初めて親がインコを飼ってきた。

そのときは物珍しさと可愛さからよく親と一緒にお世話をしていた。

 

話しかけたら言葉をしゃべるかもしれないと親に言われてからは

毎日

「おはよう」

「いってきます」

「ただいま」

 

をインコに向かって言った。

 

その甲斐あってか知らないが、インコはしゃべるようになった。

 

そのころから玄関に鳥かごは置かれるようになり

訪問してきた客と私たち家族をその覚えた言葉で出迎えた。

 

最初は玄関にいるインコから話しかけられるのは嬉しかったが、

家にいるときはずっとしゃべっているので

中学生になるころにはだんだんうるさく思うようになっていった。

 

しかも、そのあいだにも次々と新しいインコやオウムを親が飼うようになり

最終的には何十羽もの鳥を飼っていたのでうるさく感じるのも仕方ないと思う。

(玄関にいたのは3羽ほどだったが)

 

ただ、自分にはどうしようもないし親に手放すように言うのも憚られたので

鳴き声にストレスを感じないようにその存在がないかのごとく無視した。

気にしないように努め続けたのだ。

 

そこから月日は流れて大学生になった。

一人暮らしを始めたので、実家に帰るのは2か月か3か月に一度くらいだった。

初めて実家に帰省した際、玄関にはオウムがいた。

「おかえり」

そういってくるオウムに少しだけ心が温かくなった。

 

毎日だと鬱陶しくてしょうがなかったが久しぶりにその鳴き声を聞くと、

なんとも可愛らしく聞こえた私を誰が攻められようか。

 

「嗚呼、これからはたまに帰ってきたときくらい世話をしよう」

 

そう思えるほどに私は心変わりをしたのだ。

 

実家で食べる久々のご飯はとても素晴らしいものだったし、

以前はうるさく感じた鳥の鳴き声も心変わりした私には

オーケストラの演奏のように聞こえた。

温かいお風呂にゆったりと浸かることもできたし、両親も帰省した私にいやに優しい。

とにかく帰省してよかったと思える一日目だった。

 

そして二日目。

夏休みの帰省ということで平日だった二日目に私一人で家にいた。

母親から出勤時、

「もしかしたらお婆ちゃんから電話あるかもしれんから、ちゃんとでてよ」

と言われた。

 

母方の婆ちゃんには世話になっているし、

私が帰省したことを知って声でも聞きたくなったのだろう。

そう思って二つ返事で「了解」と返した。

 

幸い、固定電話はどこにいても聞こえるのでパソコンのある二階の部屋で時間を

潰していた。

昼時も過ぎて小腹がすきだした頃、

 

「ぷるるるるるるる。ぷるるるるる」

 

と聞こえた。

お婆ちゃんかもしれない。

そう思って部屋の扉を開けて下に降りようとすると

音は聞こえなくなった。

 

ほんとに短い間だったので間違い電話だと思って部屋に戻った。

 

「ぷるるるるるる。ぷるるるるるる」

 

またすぐになった。

今度こそと思って部屋を出て下まで降りた。

「ぷるるるるる。ぷるるるる。ぷるるるるるるるるるるる」

機械音にしては妙に規則性のない音をしていた。

 

電話に近づいていくと音の発生源が電話ではないことに気付いた。

玄関のほうから聞こえる。

「ぷるるるるる。ぷるるるるるっるる」

その音を発していたのはなんとオウムだったのだ。

 

その小さい体の声帯を一生懸命震わせて完璧な電話音を奏でていた。

本当にまったく気づかなかった。名人芸である。

 

私は心変わりした。

 

「なんて可愛くないやつなんだ。

 てか、これ電話の音かどうか一回一回確かめに降りなきゃなんないじゃん。」

 

 え?どうすんの?これどうすんの?これ

 

状態である。

落ち着くために数分つかって結論を出した。

 

「電話音はすべて無視しよう。お婆ちゃんごめん」

 

そこから聞こえる電話音はすべて無視をして一日を過ごした。

 

そして母親が帰ってきて

 

「お婆ちゃんから電話あった?」

 

と聞かれたが私は即座に

 

「なかった」

 

と答えた。幸い本当にかかってきてなかったみたいで(後日お婆ちゃんの家にいった)

問題なかった。

 

家族に、このオウムが鳴らす電話音について抗議の意味も含めて軽く話題に出したら、

本物の電話音と聞き分けられるから気にならないとのこと。

 

うそだろ。と思った。

 

「ぷるるるるるる」がよほど変な区切り方でない限り、電話音にしか聞こえない。。

 

このあとにも色々あったが、

私はオウムが嫌いに、はては鳥が嫌いになった。

 

そんな話である。

我が家には今日も鳥がいる。